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【小説感想】「風の群像」
三日月の南北朝オススメ書 その2
風の群像
―小説・足利尊氏〈上巻〉


           〈下巻〉






作者   :杉本苑子

主人公  :足利尊氏(1308-1358)南北朝時代の武将。室町時代初代将軍

主な登場人物 :足利直義、高師直、足利直冬、足利義詮など

時代 :南北朝初期~中期(1333-1358)

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足利尊氏の鎌倉幕府倒幕からその死までを描いた小説です。

といいながらも、尊氏を取り巻くひとびとの視点から平明に描かれていて
難解な時代に関わらず、現代の私たちにも解りやすく入り込ませてくれます。

ここでの助演男優賞はなんといっても足利直義。
兄尊氏とは正反対の性格である、律儀で禁欲的なひとつ下の同母弟です。

小説によってはカタブツで常識家、融通がきかないといった描写が多い人なのですが
この小説では温かみと誠実さあふれる人物として
尊氏の子、直冬や基氏をはじめ多くの人々に敬愛される美しさが際立っています。

特に後半の観応の擾乱では
「あれ?この小説って直義が主人公だった?」と表紙を見返すほどに
直義視点で話が進みます。いっそ主演と名乗ってもおかしくないほど。
直義ファンには必携の書だと思います。

観応の擾乱は敵味方が入り混じり、とても厄介な題材なのですが
関係する人々の気持ちを軸に、丁寧に解りやすく
そして何より魅せる書物に仕上げた作者の力量はかなりのものだと思います。

あと尊氏の執事・高師直が知性派として描かれているのも個人的にはツボ。
『太平記』でのスケベで悪辣なイメージが吹っ飛びます。




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【小説感想】「破軍の星」
三日月の南北朝オススメ書 その1
破軍の星



作者   :北方謙三

主人公  :北畠顕家(1331-1338)

主な登場人物 :北畠親房、六の宮(後村上天皇)、足利尊氏、
           斯波家長、上杉憲顕、結城宗弘など

時代 :南北朝初期(1333-1338)

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「南北朝三大美少年」のひとりであり、
太平記界の出来杉くん、勇知兼ね備えた美貌の勇将、
そして日本史上ただひとりの「鎮守府大将軍」の北畠顕家。

その北畠顕家の小説といえばコレ!と太鼓判を押して
町中に配りたいくらいおすすめの小説です。


鎌倉幕府倒幕後から彼の戦死までの5年間が
テンポ良く描かれています。

なんといっても特筆すべきは顕家のカッコ良さ!

若さゆえの潔癖なまでの政治への思い
ストイックな生き様にオトコを見た!という感じです。

またこんな10代いないよ!というくらい果断で明晰な仕事っぷりなのに
女性には奥手なのがなんとも可愛い!

脇役では足利尊氏のなんともつかみどころのない存在感がいいですね。
尊氏は小説によって描写が分かれていますが
北方謙三の描く尊氏は、
底の知れないなんとも言えない懐の深さを持っていてひきつけられます。




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